東宝不動産の財務分析です。東宝不動産は、保有している不動産が安値で貸借対照表に計上されていることで有名です。具体的に、有価証券報告書には次のように計上されています。

主要な設備の状況


含み資産が大きいと思われるものを抜き出します。

物件名面積土地評価額坪単価
帝劇ビル3825m^2281,701(千円)24万円
東宝ツインタワービル1474m^2432,043(千円)97万円
渋谷東宝ビル431m^212(千円)92円
目黒東宝ビル394m^2274,917(千円)230万円


帝劇ビルは、次のような一等地にあります。

帝劇ビル


帝劇ビルのある丸の内一丁目の路線価を調べると、丸の内一丁目の1平米1144万円です。つまり、坪単価3775万円の土地が、坪単価24万円で資産計上されているわけです。

それでは、不動産の含み益は合計でいくらあるのでしょうか?それは、有価証券報告書のP.59に記載されています。

時価評価



貸借対照表の評価額 23,902,541(千円)
時価 68,648,400(千円)


つまり、貸借対照表に計上されている金額の2.87倍もの資産を持っているのです。現在の株価413円のPBRは0.73です。しかし、不動産を時価評価した場合のPBRは0.276と、一気に割安になります。

pbr


東宝不動産の発行済み株式数は55,688,795株、純資産は38,734,042(千円)です。ここで、不動産を時価評価した場合の純資産は83,479,901(千円)となり、PBR1.0とした場合の株価は1499円となります。

最近、フジ・メディア・ホールディングスによるサンケイビルへのTOB(2012年)や、東宝によるコマ・スタジアムのTOB(2008年)など、含み資産に注目したTOBが行われています。PBR1.0倍は難しいとしても、株主と東宝、双方に利益のある、1000円程度のTOBは十分考えられると思います。

特に、帝国劇場は1966年に建て替えられ、築46年になっています。前回の建て替えは、1924年の改修から42年ですので、そろそろ建て替えと再開発があってもよい時期です。再開発に合わせてTOBというのはあり得ると思います。帝劇ビルと同じ区画の国際ビルは三菱地所の所有で1966年竣工で帝劇ビルと同じ築46年なので、三菱地所からの働きかけにも期待したいです。東京駅の復元も終わりましたし、三菱地所の丸の内の保有物件マップの中でも丸の内1〜2丁目は、次の再開発としても有望だと思います。

加えて、大株主にゴールドマン・サックスが出現しているのも興味深いです。


東宝 3,275(58.8)
阪急阪神HLD 298 (5.3)
ゴールドマン・サックス・インターナショナル 131 (2.3)


ちなみに、渋谷ヒカリエは渋谷東宝ビル別館跡地との一体開発なので、東宝不動産の持分があったりして、ヒカリエ銘柄としても面白いです。

参考文献
企業の目に見える資産に注目してみよう No3
J-REITvs.東宝不動産(2009.6.9)