バリュー投資は、市場に過小評価されている株を買っておき、将来の再評価を期待する投資方法です。バリュー投資では、いかに株の本来価値を推定し、過小評価されている銘柄を見つけることができるかが鍵になります。

割安な銘柄を選ぶ方法で一番簡単な方法が、PERとPBRを見る方法です。

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例えばSBI証券では、銘柄画面の右下でPERとPBRを見ることができます。Yahooファイナンスの情報はかなり遅れていて参考にならないので、証券会社の情報を使用して下さい。基本的に株のPERとPBRは小さければ小さいほど割安になります。

PERは株価収益率と言って、
 PER=株価/一株利益
で定義されます。この値は、投資した金額を何年で回収できるかを表しています。業種別の平均PERは割安株ドットコムなどで見ることができます。一般的には、PER15などですが、成長株などはPER100などと評価されることもあります。これは、将来の利益の増大によってPERが低下することが期待されるためです。つまり、PERが高ければ高いほど市場に評価されていることになります。市場に評価されることは素晴らしいことですが、下方修正などによって投資家の期待を裏切った際の株価の下落はとんでもないことになります。成長性が期待されてPER100が、成長性の無いPER10程度に再評価された場合、株価は1/10に暴落します。従って、できるだけPERが低い銘柄を買っておいた方が安全です。個人的には、PER8以下程度が投資対象だと考えています。

しかし、PERにも次のようなトラップがあります。
・過去に赤字を出した企業は税金を払っていないためPERが低くなる
・資産を売却した一期限りの特別利益が計上されてしまってPERが低くなる
・開発費をソフトウェア仮勘定に資産として計上して意図的に利益を増やしているケースがある

このようなトラップを見破るには、四季報をチェックする必要があります。

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見るべきところは、経常利益と利益の比率と、キャッシュフローです。法人税は40%なため、一般的に
 利益=0.6*経常利益
になります。しかし、このイー・アクセスのバランスシートでは、利益=経常利益、となっています。これは、過去の損失の繰延によって税金を支払っていないために起こります。そのため、現在のPERは3でも、将来は税負担が発生するので、実質的なPERは0.6で割って、5程度であると考える必要があります。さらに、過去に赤字が無いのに利益と経常利益が近い値になっている場合は、会計上は利益が出ているが税務上は利益が出ていないと判断されているため、注意が必要です。税務署的には利益が上がれば上がるほど多くの税金が取れて歓迎すべきなのに、その税務署でさえも利益として認めないというのは、その利益は会計的な見せかけである可能性があります。

利益は会計的な値なので、利益がいくら出ていても倒産する、黒字倒産というケースが存在します。従って、利益の信頼性を見る必要があり、そのためにキャッシュフローを見ます。キャッシュ・フローというのは現金の出入りのことです。企業は、現金がある限り倒産することはありません。そのため、キャッシュ・フローが重要なわけです。キャッシュ・フローには営業CF、投資CF、財務CFの3つがあります。営業CFは営業活動によって得られた現金、投資CFは設備投資をするなど将来のために資産を取得するのに使用した現金、財務CFは借入金を返済したり配当に支払った現金です。利益と違って現金の出入りは操作しにくいので、利益だけでなくキャッシュフローも見ておくとよりリスクを下げることができます。

具体的に、営業CFが大きくプラスで、投資CFと財務CFを足した結果が営業CFを下回っていると安全です。このような企業は、営業活動によって取得した現金で、投資をしたり借金を返したりしているわけで、安定的に運営されています。危険なのは営業CFがマイナスの場合で、これは、企業活動をした結果、現金が出て行っています。このような企業は、黒字であっても投資しないほうがいいです。黒字倒産のリスクがあります。もう一つ危険なのは、営業CFはプラスでも、それを上回る投資CFが発生しているケースです。この場合、利益は出ているが在庫が詰み上がっている可能性があります。

さらに踏み込むと、営業CFがプラスだとしても、ソフトバンクのように割賦売掛金を流動化していたり、マクドナルドのように店舗をオーナーに売却することで、営業CFを良く見せているケースもあります。(■財務アナリストの雑感■  シーズン5様は素晴らしいBLOGですので、ぜひRSSリーダに登録されることをオススメします。)ただ、投資家はまだあんまりキャッシュフローに注目していないので、利益よりは操作されている可能性が低いですので、それなりに信用してもいいと思います。

次にPBRです。PBRは純資産倍率と言って、
 PBR=株価/一株資産
で定義されます。一株資産は、その企業が解散した際に株主に返ってくることが期待できる金額を表します。従って、PBRが低ければ低いほど、その企業の価値が低く見積もられていることになります。個人的には、PBR1以下程度が投資対象になります。ただし、PBRにはトラップがあります。それは、商品在庫(たな卸資産)やソフトウェア仮勘定、建物、機械設備など、企業が売却しようとしても二束三文のものも資産として計上されていることです。エルピーダメモリのように、PBRが0.1でも、倒産して全くお金が返ってこないということが起こりえます。

従って、企業のバランスシートを見て、PBRがどれくらい信頼できるかを考えなければなりません。

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重要なのは保有現金と、負債のバランスです。理想的には、負債の合計よりも保有現金の方が多いことが望ましいです。そのような企業はめったなことでは潰れません。保守的に見るなら、資産に計上されている商品や、固定資産の有形固定資産、ソフトウェア仮勘定などは、最悪0円評価になることを考慮して、そのような事態になっても負債よりも現金の方が上回ることを確認しておく必要があります。ただし、そのような安定的な企業は稀なので、後はキャッシュ・フローを見て、何年分のキャッシュ・フローで借金を全て返せるかなどを考えて、ある程度のリスクは許容した方がいいと思います。

また、アニメ業界における版権や、通信業界による無線免許など、価値のある無形資産はバランスシートに計上されないため、見た目のPBRよりも、実施的なPBRは低いという可能性もあります。このバランスシートはイー・アクセスのもので、不安定に見えますが、実際は無線免許や、顧客からの安定的なキャッシュ・フローがあるので、見た目よりは安定しています。

バランスシートの読み方は”決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール”がオススメです。



最後に、EBITDAです。EBITDAは、利益に減価償却費を足した値です。減価償却費というのは、過去に購入した資産を数年にわたって償却する会計的な出費です。資産は過去に買って既に現金を払っているわけなので、実際には減価償却費の分は企業から現金が出ていっていないわけです。そのため、減価償却費の金額は企業が自由に使えることになります。そのため、利益は減価償却費だけ目減りしているわけで、売上が変わらなくても、減価償却が終わるだけでも将来利益が増加することになります。そのため、EBITDAが大きい場合は、実質的なPERはもう少し低く考えてもよいです。

以上の点をまとめた株の買い方は次のようになります。
(1)PERとPBRが低く、配当利回りが高い銘柄を絞込み
 (個人的にはPER8以下、PBR1以下、配当利回り4%以上)
(2)キャッシュ・フローで営業CFが投資CF+財務CFを上回っていることを確認
(3)経常利益と利益の比率を確認してPERを割り引く
(4)バランスシートを確認してPBRを割り引く
(5)バランスシートに計上されていない価値のある資産を持っていないかを考える
(6)ビジネスが将来的に安定的かを判断する

例えば、イー・アクセスの場合は
(1)PERは2.98、PBRは0.87、配当利回り4.24%
(2)キャッシュ・フローは営業CF520、投資CF+財務CF=458+236で、そこそこ回っている
(3)経常利益と利益が同額なので、PERを0.6で割って実質的には5程度と判断
(4)バランスシートでは負債が多くてリスクがあることを頭に置いておく
(5)電波免許がバランスシートに計上されていない資産として存在する
(6)日銭商売で新規参入は難しいのでそれなりに安定している
ということで、財務リスクはあるが割安と判断しています。

以上が、バリュー投資としての株の買い方です。参考になれば!

最後に、バリュー投資の名著、”株で勝つ”もオススメしておきます。



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