今年の会場は、例年と異なり、三鷹駅近くの武蔵野芸能劇場でした。IGポートの本社が国分寺から三鷹に移動したのと、ももへの手紙上映会の兼ね合いですね。受付で、輪廻のラグランジェのクリアファイルと、上映会のチケットをもらいました。今年の参加株主数は59人だったようです。

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事業報告の後、株主からの質問の前に、石川社長から挨拶がありました。


今後はキラーコンテンツを作ることを目標にしていく。5年、10年経過しても色あせない作品を作っていく。TVシリーズのノウハウも蓄積されてきており、キラーコンテンツを生み出すことの出来る体制が整ってきた。今後はキラーコンテンツによって利益を生む構造を作っていく。SSS 3D、バサラなどの劇場作品のヒットの経験は、ブラッドCやテニスの王子様、ももへの手紙などに生きてくると考えている。

特に、ももへの手紙は現在、バンダイビジュアル、TBS、角川、IGによる委員会で宣伝活動を行っている。ももへの手紙の制作は7年ごし。その間に5年前の株式上場もあり、製作委員会の座組も変わった。上場したのはいかがなものかという話もあったり、大変な時期もあったが、上場してよかったと思っている。

日テレの会長がジブリのインタビューで答えた言葉が心に残っている。「プロデューサーの仕事は作品を完成させることだけではないし、ヒットを一本出すことだけでもない。収益を生み出す”構造”を作ることが大切。そして、それ以上に大事なのは、作っている人を本気にさせること。」ももへの手紙は本気で7年作り続けた。株主への何よりの恩返しになればと考えている。

ももへの手紙は、過去に4回ほど上映会を行っているが、監督の舞台挨拶は今回が始めて。監督が、株主にぜひ挨拶をしたいということで実現した。ぜひ、見て行ってもらえればと考えている。


以下、質疑応答です。今年は決議事項が無いので、事業報告に対する自由な質問という形になっています。

前期にタツノコの株式を取得したが、現在の状況はどうなっているのか?


月一回の取締役会に参加している。今後についてはまだ申し上げられないが、将来、凄く大きなことになることを確信している。


電子出版について。近い将来、紙媒体の時代は終わると思うが、経営資源を電子出版に集中していくことはしないのか?


男性向けのネットマガジン"Beat's”、女性向けのネットマガジン”EDEN"などを展開している。ネットマガジンからは”にがくてあまい”など、5、6万部を超える作品も出てきている。ネットマガジンは、雑誌の返品手当などがなくなり、作家に原稿料を出し、最終的に単行本で回収するというわかりやすいビジネスモデルになる。そこに力を入れていく。今出している雑誌をどうするかは今後検討していく。


2DアニメとCGの融合が進んでいるが、制作予算が増加してしまっていないのか?3Dアニメへの対応は?


CGの制作人口は学校のおかげで増えてきている。そのおかげで、そこまでコストが増加せずに量産できる体制は整ってきている。3Dの立体視についてはまだ高コストで、+αで制作費を計上する必要がある。

ももへの手紙は出来る限り手書きでやろうというプロジェクトだが、CGを使う部分では、いかにして違和感の無いCGを表現できるかということに注力している。例えば、扇風機のフィンは3D。違和感なく溶け込んでいるので注目してほしい。


前期から、売上は減っているが利益は改善している。ここまで持ってこれた理由は?


IR資料の6ページに詳細は記載しているが、人件費の削減によって営業利益を確保した。また、未回収金の回収と補助金収入も貢献した。


シャフトや京アニのような3、4万本売るようなコンテンツを作ることは可能か?


ももへの手紙を見てもらうのが一つの回答。ただ、ももへの手紙は(強度の)強い映画であり、5、6年かけて回収するモデルとなる。BLOOD-Cは海外から強い支持が見込める。TVから劇場へ観客を誘導する。今後は、2次利用できるタイトルを生み出していく。ギルティクラウンなどはキラーコンテンツを生み出す作品、まずヒット作をだそうと制作している。


TV業界全体で5年前からアニメの放映本数は減ってきていたが、最近は持ち直してきた。今後の見通しは?


業界全体のTVシリーズの本数は横ばいか微減を見込んでいる。IGとしては前期の8タイトルから今期の9タイトルに増加したが、これらはパッケージの売上で成立している。DVD市場の落ち込みは弱まってきており、これは、ビデオメーカによる特典やイベントの追加の効果が大きいと考えている。DVD市場は今後は微減を予測している。その後は、どうしてもネットに流れていく時代の流れがあるので、もう少し減少していくと見ている。

TVの本数としては増えたり減ったりしているが、”君に届け”や”戦国BASARA”はスタッフがコミックや原作を見て、これをやりたいと考え、自発的にメーカに話をして実現した。(自らが仕事を創りだすという)新しい流れで、(組織が)強くなってきたと思う。このチームがオリジナルを作りたいということでギルティクラウンという企画が始まった。本数というよりは、最近は、こういった面白い、ドキドキする企画が生まれてきており、楽しみである。


”君に届け”の実写版に出資していたが、今後も実写に出資していくのか?イノセンスと東のエデンは回収できているのか?


”君に届け”の実写版は手堅いビジネスモデル。今後も可能性があれば出資をしていきたい。回収については、各社で条件は違うが、イノセンスはIGとしては大きな黒字。エデンはまだ今後、回収していく必要がある。


配当が無いが株主優待はしないのか?


二期連続無配でご迷惑をおかけしている。今期は攻めの姿勢に転じており、制作資金などが多く必要なため無配とさせて頂いた。優待については、過去にクオカードをお送りしたが、郵送コストが凄くかかる。給与カット中なため、なるべく業績を大きく持ち上げてから、株主に報いたいと考えている。


巨額の資金を投じて株式会社All Nippon Entertainment Worksが設立された。この資金でアニメを作られると、フリーのアニメーターが拘束されてしまい、事業に影響を与えるのではないか?


産業革新機構が60億出資してできた会社だがIGもパートナーになっている。トランスフォーマーのように、日本の版権を海外に売りこむ会社と聞いており、作品を作ることはなく、事業への影響はないと考えている。


以上で質疑応答は全てでした。その後、ももへの手紙上映会がありました。キャラクターの動きがぬるぬるした魂の入った作画に、ジブリっぽい脚本、瀬戸内の空気感に、素晴らしい音響効果でかなりよかったです。後は宣伝をどう打っていくか次第ですね。期待です。

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せっかく本社のある三鷹ということで、本社前にも行ってきました。結構いいビルと立地で、二棟あり、本社ビルの一部はテナントに貸して収入を得ているようです。リーマン・ショック後のいい時期に買ったので、制作拠点が集約できた上で、本社を担保に資金を借りられて資金効率がよい上、利子分ぐらいはテナントで稼げている気がするので、バランスシートの現金の使い道としてはかなりよい気がしますね。IGポートの財務は結構優秀です。

IGポートのIR資料も更新されていますので、こちらもオススメです。