8a66e2cc.jpg2009年8月21日(金)10:30から、去年と同じ国分寺でした。出席株主数は80人程度。去年の1.7倍くらいの実感です。最初に石川社長から事業報告がありました。その後、10:45から質疑応答、12:00まで質問尽くしというすごい勢いでした。質問のレベルは例年に比べて高め。株式相場の低迷もいいものです。

以下、長文になりますが、質問に対する石川社長および保坂取締役、執行役員の方々の回答です。括弧は僕が入れた補足です。

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Q:売り上げが伸びているわりに利益が少ない理由は何か
A:今期の戦国バサラは1クール。(お客様の)クオリティへの要求がかなり高くなってきているため、2クール作るのは体力的に厳しい。また、出資者は保守的になってきており、とりあえず1クールやってみて様子を見ようという流れになっている。その分、(1クール目は先行投資になってしまい)、ヒットの当期は渋い。1クール目で認知してもられば長く生きる。(利益が出てくるのは2クール目や減価償却した後。)今期はそういう方向に移った過渡期である。

Q:マッグガーデンの今後の方向性について
A:ARIAの作者の続編である”あまんちゅ”は8/10に発売したが既に重版が決定し好調。(新連載の)ヒトガタナも人気で、いい流れは出来つつある。アバルスとの差別化として、本誌は今後2年で、より低年齢層に向けた紙面づくりをしていく。また、ネットマガジンエデンを創刊する。こちらはより一般層向け。最初は12作品。ほとんどはマッグガーデン/IGコミック大賞の受賞作家を起用。審査員のアドバイス等も踏まえて受賞作を連載していく。

Q:版権事業で過去のコンテンツをどうリクープ(再収益化)していくか
A:ホッタラケは東映の配給により200館以上。今後は、DVDを売るというビジネスモデルでは無く、お客様を多く集めてマーチャンダイジング(関連商品の売り上げやメディアミックス)する方向でいきたい。フジテレビさんの集客力は凄い。ホッタラケは原作も共有している。ヴェスペリアにも期待している。(過去のコンテンツのリクープの話はありませんでしたが、ナデシコ等のアミューズメント展開があるので、IGは結構うまくやっている方だと思っています。)

Q:今後どうやって利益を出していくのか?
A:製作委員会は一つ重要な方法論だが、ただ製作コストを抑えて、(制作費との差分で)利益を出していくという方法ではダメ。今後は原作を自ら作り自らが主軸となって出資していかなければならない。戦略的に出資していかないと衰退していくだけ。(IGは製作委員会から声がかけられるのを待っているようなやり方だけではない。)

 例えばバサラの例では、IGのプロデューサがバサラをアニメ化したいと企画し、IGの社内で議論した後、カプコンに許諾を取りに行った。その後、(IGが主体となって)製作委員会を構築した。(他社と違い、自らが声をかけ、IGが主軸となって出資者と原作を集めたところが新しい。)エデンの例では、神山監督の作りたいものを作らせようということで、フジテレビと製作委員会を構築した。ただ受注して制作費を切り詰めていくという会社ではないのがIGの強みである。

 加えて、IGの移転によって年間5000万の削減が出来る。その分、クオリティの高い作品を作っていく。(移転そのものの費用はいくらか?という質問に対して)(河合塾が)20年使用したものなので改修に2〜3億かかる。ただ、減価償却していくのですぐには響かない。

Q:新しい技術への投資の費用は今後どのくらいかかるのか?
A:IGFX(3Dスタジオ)を作ってホッタラケに至るここ3年はかなりの力を入れていた。(スタジオの環境構築に投資していた。)クオリティは人の努力の地道な積み重ね。そういうことのできる環境を作るのが大事。コンピュータだけを進歩させても意味がない。IGとしては3D劇場作品が今後、より重要になってくると考えている。現在、アニメーションのフル3D映画を製作できるスタジオはほとんど無い。海外と水面下で進んでいる事業も3Dは必須。当社に3Dのスタジオを持って、(製作委員会に)あそこなら3Dを頼んでも安心だと思わせ、3Dの制作費がIGに巡回する構造が重要。その点、ホッタラケを作れたという実績はかなり大きい。いい流れを作ったと考えている。

Q:売り上げが上がった中で営業利益が下がった要因
A:スカイクロラの海外収益が来期になった。また、海外での落ち込みが大きく、版権事業全体で景気悪化の影響を受けた。版権事業の利益率は高いので、営業利益の落ち込みが大きい。事業組合出資損失は携帯捜査官LLPの減損である。製作委員会ではなくLLP(有限責任事業組合)でやったため、固定資産の減損ではなく当期損失として計上した。

Q:攻殻とBLOODの実写化について
A:攻殻は、海外メジャーの監督と将来の話も出来、得るものが大きかった。今後、講談社さんからきちんとした報告が出る。いつプレスリリースされるかは言えないが、最大のインパクトのある相手と組むことが出来た。今回は、アニメ業界だけを考えるのでは無く、日本の映像業界全体を考えて、それを最大ミッションとして交渉を行った。(最大の結果を出せたと考えている、というようなニュアンスでした。)

 BLOODについては、北久保監督はすごく喜んでいる。大多数のお客さんに喜ばれる映像かどうかは反省する所もあるが、アニメーションオリジナルの作品が海外で実写化するという例はほとんど無い。それは原作の問題と、製作委員会を作るのが大変ということ。IGが窓口となることによって実写化を具現化できたという実績は貴重だと考えている。

Q:SACの3rdを期待
A:神山監督への応援メッセージ。神山監督にお伝えしてハートに火がつくことを期待します。

Q:株主優待として映画の割引券の郵送できないか?
A:今日のおみやげにホッタラケのポスターをつけた。事業報告書に映画の告知を入れた。割引券は地域性があるので難しい。

Q:スカイクロラは意外と利益が出てたりするのか?
A:海外窓口をしてみて押井の名前は海外で強いことを実感した。また、賞味期限が長いのも強い。(DVDが長く売れる。)制作費は守秘義務で言えないが、興行収入は7億円。IGの出資分は回収できており、赤字にはなっていない。その上、版権を保有している。ビジネスとしては成功。同時期の他の大ヒット(ポニョ?)で目立たないが投資としては成功。(既に回収できているのは意外でした。)

Q:押井監督の次回作について
A:今後、みんなを幸せにすることがミッション。CGの技術を生かして喜んでもらえる作品を作る。やはりヒットさせて、スタッフに還元していかないと長くないと押井さんも考えている。次回作はきちんと儲かるように企画している。

Q:若手の育成について
A:どうやって若手を育てていくかは重要だと考えている。例えば、ホッタラケの演出の塩谷はアニメータとして入社、IGで演出を学んだ。今や現場の信頼はかなり高く、ホッタラケのクオリティは彼の力が大きい。2Dのノウハウを3Dに移植したのは塩谷の力。(IGPXの製作ノウハウ本にも書いてありましたが、3Dクリエイターは比較的、空間そのものを意識するのに対し、2Dクリエイターは最終的な画面を意識するそうです。3Dの現場でも最終的なカメラから出る絵を想定することで、クオリティが格段にあがったという話がありました。同じようなことがホッタラケでも起きているのかもしれません。3Dの動きは物理法則に結構しばられるので、ナルトのゲームではわざと物理的に手を大きくしたりしてごまかしたりもしていたりと、2Dっぽい3Dというのもいろいろとノウハウがあるのかなぁと思います。)また、君に届け等の、知名度のある作品には、若手の実力のある監督を起用している。(これはいいアイディア!)

Q:IGの今後
A:IGの今後の方針として三つの柱を考えている。一つ目は、IG、マッグガーデン、XEBECの相乗効果を出せないかということ。具体的に、マッグガーデンのコミックにXEBECのDVDをバンドルするようなことをやっていきたい。二つ目は、グローバル化と海外展開。海外展開はIGのアドバンテージだと考えている。ルーカスの会社との人材交流も行っているし、HALOのアニメーションパートを受注したりもしている。さらに、海外との直接契約の共同製作が水面下で何本か動いている。海外との下請けではなく海外と共同で企画を持つということをやっていく。三つ目は、ファミリー向けの作品作り。DVD市場を前提としたTV作品の受注をやってきたが、手堅くDVDを売るための作品にして欲しいという要求が多くなってきている。結果、保守的にコアな層に向けた作品となってしまっている。(これでは規模が狙えないので)今後は、ファミリー向けの作品を作っていきたい。IGはニュートラルな立場なのも強み。強い出版社、TV局さん、広告代理店と柔軟に組めるのが力だと思っている。昨今の厳しい状況を、挑戦によって生き抜きたいと考えている。

Q:アニメーション業界において若手の年収が低すぎることについて
A:IGではかなりの難度の入社試験をした後、まずは業務委託契約という形になっている。難関を突破したのに社員にしてくれないのか、という声もあるが、まずは業務委託契約として、基礎教育を2年間、マンツーマンでやろうと考えている。IGで社員化する条件は、フリーで年収1000万以上が稼げるだけの実力があること。アニメータとして300万、500万で社員化すると成長が止まる。そういったアニメータを多く見てきた。IGでは取締役にアニメータを3人置いている。後藤、西尾を見て彼らに近づくために努力してもらうという方向性だ。安定ではなく、いいものを作った人に還元する方針で、こういうところで働きたいと思える作品を作っていく。クリエイターに出来るだけお金を還元できるように、今後頑張っていきたい。(作品をヒットさせていきたい。)

Q:劇場が3Dシアターになっていく中での技術への対応は
A:アニメーションの原画は想像力のアウトプット。絵がうまい人はマウスになってもそのレベルまでいく。3Dになっても、アニメーションの技術はそのまま生かせる。(ピクサーのラセターさんが3Dにディズニーの動かし方を持ち込んだのと同じですね。)ホッタラケでキャラクターが3Dで出来たというのは大きなアドバンテージ。3Dシアターへの出力は、レンダリングの工程で出来るので問題ない。IGとしては、キャラクターの魅力、動かし方の魅力、脚本の魅力で差別化をしていく。

Q:過去に一番儲かったものは何か
A:1位はエヴァ。エヴァは出資した作品。2位は攻殻SAC。SACは出資と製作をしている。
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いやー、今年は熱かった。かなり考え抜いていて、とにかく手を打っている印象です。おみやげはホッタラケのポスターと、獣の奏者文庫版でした。業界的に数年は業績厳しいかもしれませんが、もうちょっと持ってみても大丈夫な予感がする株主総会でした。

後、IGさん、IR説明会の資料のアップロードをお願いします。さらに、損益計算書が去年までは前年のが併記されてたんですが、今年から今年分しか載ってなくて比較が大変なので、来年は併記をぜひぜひよろしくお願いいたします。